2026.03.02

王寺町制100周年記念シンポジウムを開催しました

 王寺町は1926年2月11日に誕生し、今年100周年を迎えました。その誕生日を記念し、町の未来について考えるシンポジウム「王寺みらい予報~ひと・まち・くらしはどうなる?~」を2月11日(水・祝)、文化福祉センターで開きました。ゲストに、俳優で気象予報士の石原良純さんらをお招きし、平井康之町長とともに「これからの王寺町」について語り合いました。

トークセッションの様子。左から、八木早希さん(フリーアナウンサー)、森川高行さん(名古屋大学 未来社会創造機構 モビリティ社会研究所 特任教授・名誉教授)、石原良純さん(俳優・気象予報士)、平井康之町長

町長あいさつ

 シンポジウムに先立ち、平井康之町長があいさつに登壇。「将来世代の子どもたちに町を受け渡していくために、これからの王寺町をどうデザインしていくのか、またそのためにはどんな準備が必要なのか。それを考える機会にしたいと思います」と述べました。

100人の合唱隊

 町制100周年を記念して「100人の合唱隊」が結成されました。6歳から88歳までの男女100人が集まり、この日のために練習を重ねてきました。指揮は池田里香さん、ピアノは高橋美輪さん。お二人は、ジュニア合唱団「フェアリーベル」「アンサンブルフローラ」で、指揮・指導やピアノ伴奏をされています。

合唱隊は、「王寺町町歌」「Love Love ゆきまる!」「100年目の王寺へ」の3曲で美しいハーモニーを響かせました。「Love Love ゆきまる!」では、町のマスコットキャラクター雪丸も登場し、合唱隊の子どもたちとかわいらしいダンスを披露。「100年目の王寺へ」を作詞・作曲した、町出身でボリビア在住のフォルクローレ歌手、秋元広行さんからはお祝いのメッセージも寄せられました。

100周年記念特別企画「100人の合唱隊」。王寺町の100周年を歌で祝うために、町内在住・在勤・在学の100人が集まりました。

基調講演

シンポジウムではまず、名古屋大学 未来社会創造機構 モビリティ社会研究所の森川高行特任教授・名誉教授が「リニアの開通で王寺はどう変わるか」と題して基調講演。

森川特任教授は「世界的に見て、東京以外の日本の都市は競争力が落ちてきている」と指摘し、「日本を再び活力のある国にするためには、県や市といった小さな行政区画ではなく、都市と都市を結んだ大都市圏単位の施策が必要。リニア新幹線の開通は、東京・名古屋・大阪という3つの都市圏を一つの大都市圏にし、奈良県はそこに入って日本全体の競争力を大いに高める。」と話しました。
また、県内のリニア駅の候補地(未定)へは、王寺町から10分ほどでアクセスできるのではないかと推測し、「品川駅まで約80分で行けるようになり、東京への通勤・通学が可能になる。現在、『住みここちナンバーワン』の町として知られているが、住宅地としての価値はもっと高まるのでは」と話されました。

トークセッション

 石原良純さん、森川高行特任教授、平井康之町長によるトークセッションは、3つのテーマに沿って展開しました。司会はフリーアナウンサーの八木早希さんです。

石原 良純 さん

俳優・気象予報士

1962年、神奈川県生まれ。84年、慶應義塾大学経済学部卒業。同年、映画「凶弾」でデビュー。以後、舞台、映画、テレビドラマ、バラエティーにと意欲的に活動。2009年度NHK大河ドラマ「天地人」や現在はテレビ朝日「モーニングショー」、「ザワつく!金曜日」などにも出演中。

森川 高行 さん

名古屋大学 未来社会創造機構 モビリティ社会研究所 特任教授・名誉教授

1958年、神戸市生まれ。京都大学工学部卒業、同大学院修士課程修了、マサチューセッツ工科大学(MIT)大学院博士課程修了。2000年から名古屋大学大学院教授、24年から特任教授・名誉教授。専門は、次世代モビリティ、交通計画、都市計画、消費者行動論。

平井 康之

王寺町長

1952年、奈良県王寺町生まれ。京都大学法学部を卒業後、77年に奈良県庁入庁。文化観光課長、健康福祉部次長、議会事務局長などを歴任し、2012年に退職。13年に王寺町長選挙に初当選し、現在4期目を務める。

八木 早希 さん

フリーアナウンサー

アメリカ・ロサンゼルスで生まれ、大阪で育つ。毎日放送アナウンサー、「NEWS ZERO」キャスターを経て現在は著名人へのインタビューやシンポジウムモデレーター、講演活動など幅広くこなす。2023年からは大阪工業大学の客員教授を務める。

 八木 100年の節目を迎えた王寺町は、聖徳太子にゆかりの深い、歴史あるまちです。1890年
    の王寺駅開業以降は、「大阪と奈良をつなぐ玄関口」となり、鉄道のまちとして発展してきまし
    た。来られた印象はいかがでしょうか。

 森川 大阪市内の天王寺駅から王寺駅までは約20分ほどでしたが、奈良に入ると雰囲気がだいぶ変
    わりますね。自然が多く、暮らしやすい空気感があります。

 石原 奈良に行くというと京都駅から近鉄線というのが関東人の感覚ですが、王寺町へは新大阪駅か
    ら来ました。大和川沿いに鉄道や道路が整備され、まちが発展してきたという様子が分かりま
    した。

 八木 大和川から恩恵を受けて発展してきた一方、川の氾濫という試練もありました。

 森川 過去には亀の瀬の地すべりによる地面の隆起が原因で、川の水がせき止められ、まちが浸水す
    るという被害もありました。しかし、地形的な困難を克服し、人気のベッドタウンとして「住
    みここちナンバーワン」(※)のまちになった。住民の皆さんの努力だと思います。

 八木 まちに愛着があるから、整備しながら暮らしてきたという思いがありますね。

 平井 地すべりや水害など、いくつもの災害を乗り越えて、現在の王寺町があります。まちの発展と
    しては、王寺駅が設置されたことが大きな転機となりました。田んぼばかりの久度の地域に駅
    ができ、駅前に店や家ができたりしたことで、にぎわいが生まれました。大阪と奈良をつなぐ
    交通の要衝というのが、まちの原点です。

     (※)大東建託「街の住みここちランキング」2019~2025年で奈良県内1位


 八木 リニアの開通を見据え、まちのデザインをどうすべきでしょうか。

 森川 リニアが通ることで、東京で働く、もしくは東京に住んで奈良で働くといった選択肢が増える
    のではないでしょうか。リニア駅の開設と共に、奈良県全体のアクセスを高めることが重要に
    なると思います。

 石原 リニアの駅をうまく活用することが大切ですね。宝の持ち腐れになっては意味がありません。
    リニアを降りたらローカル線にすぐ乗れるなど、地元の鉄道とうまく連動させる工夫も必要で    
    す。

 八木 良純さんはリニアに乗られたことがあるそうですが。

 石原 何度かあります。時速150キロくらいまではタイヤの音がしますが、速度がさらに上がると
    ふっと浮く。飛行機が離陸したような感覚です。乗り心地いいですよ。

 八木 東京が通勤圏内になるだけではなく、東京からの日帰り旅行といった需要も高まるのではない
    でしょうか。

 森川 奈良観光というと奈良公園や東大寺など北側に集中しがちですが、実はもっと歴史が深い飛鳥
    とか斑鳩、山の辺の道などには日本人でもあまり訪れていません。奈良盆地の至る所にある観
    光地を歴史のストーリーとともにアピールして、さらにそこに行きやすくする方策を考える必
    要があると思います。

 平井 森川先生がおっしゃったように、奈良県全体が世界遺産だらけです。王寺町はそのどこへ行く
    にも便利なところにあります。また王寺町にも、花火が打ち上がる「王寺ミルキーウェイ」
    や、まちの新たな特産品として期待を集める「オリーブ栽培」など、魅力的なコンテンツがた
    くさんあります。こうしたものをさらに充実させながら、王寺駅の結節性を高め、まちがハブ
    として機能するような基盤整備をしっかりしていきたいと思っています。


 八木 次世代に残すべき未来のまちづくりについて伺います。

 平井 リニアが開通することで、王寺町から東京が通勤圏内になり得るということで、住みやすいま
    ちとして選んでもらえる存在になるよう、準備していきたいと思っています。例えば、3つの
    小学校と2つの中学校を統合・再編し、9年制の義務教育学校を2校、開校しました。少子化
    が進む中で、子どもたちにとって学力だけでないものを学べる、そんな教育環境を整えたいと
    思っています。「子育てしやすい教育のまち」を全面に押し出すことが、選んでもらうことへの
    一歩ではないかと思っています。

 八木 未来の駅のあり方とはどんな形でしょう。

 森川 王寺駅を見ると、操車場がものすごく広く、王寺が昔から鉄道のハブであったことがよく分か
    ります。将来的には鉄道だけではなく、自動運転のバスや空飛ぶ車などの起点となり、陸や空
    も含めたハブになる可能性も十分にあります。人が集まって、いろんな仕事ができて、何かが
    生まれる。王寺駅がハブとしてさらに整備されていくことが、まちの未来を決めるのではない
    かと思います。

 石原 鉄道を生かしたまちづくりというのはアウトプットですが、まちづくりの中身を充実させるた
    めには、町民一人ひとりの積極的なインプットが大切です。リニアができたら乗ってみる、行
    った先でこのまちはどうなっているんだろうかと興味を持つ。そんな体験をまちにフィードバ
    ックさせることが、魅力あるまちづくりにつながるんじゃないでしょうか。まちの未来は、住
    んでいる人たちみんなの手でつくっていくものですから。


さいごに

 最後に、出演者らと100人の合唱隊、雪丸も舞台に上がり、石原さんの音頭で盛大に一丁締め。王寺町の誕生日を会場全体でお祝いしました。

みんなでひゃくまるポーズで記念撮影!

 

100チャレンジ号外

 町制100周年を記念して、オリジナルの新聞をつくれる「ひゃくまる号外」サービスも展開されました。専用のサイトに入り、写真や見出し、簡単な文章を入力すると、新聞ができあがるというものです。この日、会場には町民らが作成した世界に一つだけの号外が貼り出され、自分の新聞を探す人の姿も見られました。