2024.11.13
お知らせ
野村明大アナが徹底取材! 王寺町の魅力
奈良県王寺町は、2026年2月11日に町制施行100周年を迎えます。奈良で初めて鉄道が通り、交通アクセスに優れた王寺町は、豊かな自然に囲まれ、聖徳太子ともゆかりの深い歴史ロマンあふれる町。読売テレビアナウンサーの野村明大さんが、その魅力を取材してくれました。

歴史のまち
明神山
「5つの世界遺産を見渡せる場所にご案内します」。町地域交流課の岡島永昌さんに連れられて、最初に足を運んだのは明神山。標高273.6mの低い山ながら、山頂には周囲360度を見渡せるパノラマの景色が広がっていました。東には山に囲まれた奈良盆地、西に広がるのは大阪平野。遠く明石海峡大橋まで望むことのできる景色に、気持ちが晴れ晴れとしてきます。
岡島さんに案内され、世界遺産を探します。まず北東の方向を見て、黄緑色の若草山を確認。望遠鏡でのぞくと手前に法隆寺(1つ目「法隆寺地域の仏教建造物」)、その少し上に東大寺(2つ目「古都奈良の文化財」)がはっきり見えました。「聖徳太子が飛鳥の都を離れて斑鳩に法隆寺を建てたのは、重要な交通路だった大和川沿いだからなんです」と岡島さん。陸路ではちょっとわかりにくい場所にあるなと感じていた法隆寺ですが、山上から眺めると納得です。
展望デッキを南から西へと歩き、大峰山脈(「紀伊山地の霊場と参詣道」)、「百舌鳥・古市古墳群」で4つ。巨大な前方後円墳が明石海峡から見える位置に造られているのは、海を渡ってくる外国勢力に対し、力を誇示する狙いがあったのだそうです。そして5つ目の世界遺産「古都京都の文化財」は、延暦寺が建つ比叡山。北の方角にうっすらと確認できました。
関西一円の歴史の移り変わりを一目で見られる明神山。気軽に登れる割に、お得感たっぷりです。2026年に「飛鳥・藤原の宮都」が世界遺産に認定されれば、ここから眺められる世界遺産は6つ。目が離せないスポットですよ!
望遠鏡越しに見た東大寺の大きさにびっくり! 当時の人々はその威容にさぞ恐れおののいたろうなと実感できます
「悠久の鐘」を鳴らし、ロマンチックにプロポーズを。「誓いのテラスSORANI」はカップルの聖地
山頂に建つ「水神社」。明神山の伏流水が農業用水として使われてきたため、古くから地域の人たちによって水の神様がお祀りされています
達磨寺
聖徳太子というと法隆寺や大阪の四天王寺、太子町を思い浮かべますが、王寺町にもゆかりの場所がたくさんあるのだそうです。その1つが、聖徳太子と達磨大師を本尊とする達磨寺です。
日本書紀には、聖徳太子が飢えて倒れている人を助け、この地に埋葬したという話が記されています。岡島さんによれば、中国には達磨大師と共に日本で仏教を広めようと約束した慧思(えし)禅師が聖徳太子に生まれ変わったという伝承があるといい、2つの話が結びつき、飢えた人は実は達磨大師の化身だったと考えられるようになったのだとか。太子信仰の厚さがうかがえる、興味深いお話です。鎌倉時代になって達磨塚の上にお堂が建てられ、中に聖徳太子と達磨大師の像が安置されたのが達磨寺の始まり。現在の本堂は2004年に完成したものですが、その下には今も達磨寺3号墳とよばれる古墳時代後期の円墳があるそうです。
由緒あるお寺へは、驚いたことにフリーで入ることができ、写真撮影も自由です。訪れる人のモラルを信用しているのですね。本堂に鎮座するご本尊や美しい方丈庭園を眺めていると、ゆったりと落ち着いた気分になります。境内には太子の愛犬「雪丸」の石像もあります。
ちなみに聖徳太子がこの地を訪れたのは、斑鳩と生前に造った自分の墓のある磯長を往来した際の通り道だったからだそうです。送り迎えの使者が落ち合った場所は「送迎」と書いて「ひるめ」と読みます。ちょうどそこで昼飯の時間になったので、「ひるめし」から「ひるめ」になったということですが、何ともユニークですね。
本尊の木造聖徳太子坐像(鎌倉時代、手前)と木造千手観音坐像(室町時代、中央)、木造達磨坐像(室町時代、奥)
町のマスコットキャラクターにもなっている「雪丸」の像。墓は本堂の艮(うしとら・北東)にあり、今も達磨大師を見守っています
方丈には、聖徳太子と達磨大師の出会いが描かれた屏風絵「片岡山のほとり」(橋本関雪作)の複製が公開されています
2023年に改修を終えたばかりの美しい「亀集庭」。大和川をイメージし、岩は亀を表しています
鉄道のまち
D51
木々の緑の中に、どっしりとした貫禄ある姿でたたずむD51(デゴイチ)。長く中国地方方面を走り、最後に王寺駅を含む関西線を1年ほど走って1972年に引退した車両だとのことです。73年にこの公園に移設され、今年2024年3月には町指定文化財に指定されています。
周囲を見て回っていると、「どうぞ運転席へ」と岡島さん。なんとこのデゴイチ、乗るのも触るのも自由なんです。「子どもたちがよく、ハンドルをガチャガチャやってますよ」。王寺町って本当におおらかな町ですね。かくいう私も、車両に乗り込んで岡島さんから計器の説明を受けているうちに、気分はすっかりデゴイチの機関士。記念撮影をお願いしてしまいました。
蒸気機関車は備え付けの水槽に積める水量分しか走行できないため、主要な駅では必ず給水できるようになっていたそうです。「王寺駅にもかつては王寺機関区があり、機関車の点検や給水設備の運営などが行われていました」と岡島さん。貨物を扱う駅もあったといい、王寺駅に線路が多いのは当時の名残なのだなと納得しました。
大阪鉄道という私鉄会社は当初、奈良から大和川の右岸を通って大阪まで通すプランを描いていたそうですが、亀の瀬渓谷辺りで工事が難航したため、王寺―奈良間を先行して開業させたということです。王寺駅ができたことで信貴山へお参りする人が訪れ、鉄道に携わる人々が住み、現在は大阪のベッドタウンとして発展を続ける王寺町。まさに「鉄道のまち」なんですね。
この付近の大和川には江戸時代は橋がなく、人々が船で渡っていたことから「船渡」と呼ばれていたそうです。現在は「舟戸」と表記されています
895番目に造られたD51型であることを示すプレート
保存から約50年たちますが、現役当時の装備が今もしっかり残っています
運転席に乗り込めるということで、全国にファンがいるそうです
子育てのまち
王寺北義務教育学校
王寺町は2022年4月、小学校3校と中学校2校を統合し、9年間の小中一貫教育を行う義務教育学校2校に再編しました。中野衛教育長の案内で、そのうちの1校、校舎を新設して開校した「王寺北義務教育学校」を見学しました。
校舎は4階建てで、体育館や給食施設も合わせると延べ床面積は約1万3千平方㍍もあります。児童生徒総数は1000人を超えるものの、普通教室が42あり、1クラスの定員は35人。南に向いた明るい教室で、子どもたちは伸び伸びと学べているようです。吹き抜けの大きな階段を囲み、各階に多目的スペースやメディアセンター(図書館)があり、開放感と一体感が自然に生まれてくるような設計だなと感心させられます。廊下の幅もあえて広くとり、子どもたちが集うことのできる空間にしているとのこと。昔は「走らないで!」と注意される場所だった廊下が、この学校では友達とおしゃべりしたりしてコミュニケーションを取り合う場となっているんですね。自前の給食センターを持ち、地域の人が生け花や茶道を教えに来る和室も備えているところからも、町としてしっかり子どもたちを育てていこうという思いがうかがえます。
義務教育学校は2016年4月に施行された改正学校教育法で位置づけられ、1人の校長の下、小中両方の免許を有する教員を配置し、9年間の一貫教育を行います。中野教育長によれば、奈良県内に7校ある義務教育学校のうち、6校は過疎化が進んで教員数が不足している南の山村部にあり、1000人規模で義務教育学校をしているのは王寺だけだそうです。旧の学校をなくす際には卒業生からの反対も結構あったということですが、新しい学校になって良かったなと思わせるものを作って町民の方に還元しよう、そんな意欲が、見学をしているうちに伝わってきました。
不動産開発大手の大東建託が毎年発表している「街の住みここちランキング」で、王寺町は2020年、全国の自治体で総合1位に輝いています。奈良県内の自治体ではなんと6年連続1位。自然の豊かさや大阪への交通の便が良いことに加え、“子育てにやさしい町”であることが、評価されているのかなと感じました。
吹き抜けに作られた大階段。下からは夏は涼しく、冬は暖かい空気が出てきます
季節ごとにいろいろな野菜を育てている菜園
開放的で居心地良さそうなメディアセンター。自然と活字に親しめますね
見通しの良い造りで、子どもたちの一体感が自然と育まれていくそうです
王寺町巡りを終えて
面積7平方㎞と小さな町ながら、奥深い歴史と豊かな自然を誇り、利便性にも優れたいい町だなと感じました。過去2回の国勢調査では県内で人口伸び率が最も高く、特に子どもの数が大きく伸びています。義務教育学校で見た子どもの自主的な学びを応援する姿勢、達磨寺やデゴイチなど、人のモラルを信じて開放する懐の広さが、今のようなご時世には貴重な存在なのかもしれません。町巡りを終えて対談させていただいた平井康之町長は、「住民の皆さんに、自分が住んでいるところはこれだけいいものがあるんだということを知っていただき、町に誇りを持ってもらうのが一番大事だと思っています」と話されていました。間もなく町制100周年を迎える王寺町。歴史と新しさが心地よく隣り合うこの町を、もっと知りたくなりました。

読売テレビアナウンサー/解説委員
野村 明大 さん
1972年、大阪府生まれ。東京大学経済学部を卒業後、96年に読売テレビ放送入社。独自目線によるわかりやすいニュース解説は幅広い層に人気がある。現在は、「朝生ワイド す・またん! ・ZIP!」 「そこまで言って委員会NP」などに出演。